今回は高次式の方程式を扱います。特に高次式の中でも複二次式を因数分解するときには,2通りの考え方があります。しかし,1つの考え方しか知らなくて,その考え方で解けない問題だった場合は,どうすることもできません。しっかりと2通りの考え方をマスターして,得点できるようにしましょう。
考え方
この方程式の左辺 $x^4+2x^2+4$ を見て,複二次式だなと分かることが重要です。
個人的な意見ですが,「複二次式」のように名前がある式については,名前とその特徴・処理の仕方を知っておくべきだと考えています。
$x^2=t$ とおくと,方程式の左辺は
x^4+2x^2+4=t^2+2t+4
\end{align*}
そして,2次方程式を解くときには,最初に因数分解を考えたように,高次方程式を解くときにも最初は因数分解を考えます。つまり,今回は複二次式の因数分解を考えることになります。
最初に言った通り,複二次式の因数分解の方法には,2通りの考え方があります。
- $x^2=t$ とおいて,$t$ の2次式の因数分解を考える。
- 2乗の差に変形して,$a^2-b^2=(a+b)(a-b)$ を利用して因数分解する。
考える順序としては,まず,$t$ の2次式の因数分解を考えます。それでダメなら2乗の差に変形して因数分解します。実際に $x^2=t$ とおくと,$t^2+2t+4$ となりますが,これは無理数の範囲でも因数分解できません。
したがって,2乗の差に変形することを考えます。$x^4=(x^2)^2$ と $4=2^2$ であることから,
(x^2+2)^2~~または~~(x^2-2)^2
\end{align*}
$(x^2+2)^2$(プラス型)を利用した場合,
(x^2+2)^2=x^4+4x^2+4
\end{align*}
x^4+2x^2+4&=(x^2+2)^2-2x^2 \\[4pt]
&=(x^2+2)^2-(\sqrt{2}x)^2
\end{align*}
もし,$(x^2-2)^2$(マイナス型)を利用した場合,
(x^2-2)^2=x^4-4x^2+4
\end{align*}
x^4+2x^2+4&=(x^2-2)^2+6x^2
\end{align*}
$x^2$ の係数が正のときはプラス型を利用すればうまくいきます。しかし,$x^2$ の係数が負のときはプラス型とマイナス型のどちらを利用すればうまくいくかは分かりません。そのため,一旦,プラス型を利用してうまくいかなかったら,マイナス型を利用すると切り替える必要がでてきます。
柔軟に対応できるようにしましょう。
解答
$x^4+2x^2+4=0$ より
&(x^2+2)^2-2x^2=0 \\[4pt]
&\{(x^2+2)+\sqrt{2}x\}\{(x^2+2)-\sqrt{2}x\}=0 \\[4pt]
&(x^2+\sqrt{2}x+2)(x^2-\sqrt{2}x+2)=0 \\[4pt]
&x^2+\sqrt{2}x+2=0~または~x^2-\sqrt{2}x+2=0
\end{align*}
$x^2-\sqrt{2}x+2=0$ より $x=\dfrac{\sqrt{2}\pm\sqrt{6}i}{2}$
したがって,
x=\dfrac{-\sqrt{2}\pm\sqrt{6}i}{2},~\dfrac{-\sqrt{2}\pm\sqrt{6}i}{2}
\end{align*}
まとめ
複二次式の因数分解をする2通りの考え方をマスターしましょう。