今回は証明問題を扱います。
ある数の倍数であることの証明は,中学校でも学習しますが,大学入試で出題される場合は,当然ですが,中学生よりレベルの高い知識を持っていることが重要となります。
知識を増やすことで解きやすくなるでしょう。
問題$n$ を整数とするとき,$2n^3+9n^2+7n$ は6の倍数であることを証明せよ。
よくある考え方としては,「偶奇で場合分け」や「3で割った余りで場合分け」というものがあります。しかし,今回は別の方法で解説します。
考え方
まずは次のことが当たり前だと思えるようにしましょう。
連続する3つの整数の積連続する3つの整数の積は6の倍数である。
簡単に証明しておきます。
【証明】
連続する3つの整数のうち,1つは偶数で,1つは3の倍数であるから,連続する3つの整数の積は偶数かつ3の倍数,すなわち6の倍数である。
今回の問題では,まず因数分解すると次のようになります。
\begin{align*}
2n^3+9n^2+7n&=n(2n^2+9n+7) \\[4pt]&=n(n+1)(2n+7)
\end{align*}
$n(n+1)$ が連続する2つの整数の積で偶数だから,与えられた式が偶数であることが分かります。
2n^3+9n^2+7n&=n(2n^2+9n+7) \\[4pt]&=n(n+1)(2n+7)
\end{align*}
あとは,$2n+7$ の部分をうまく変形することで,連続する3つの整数の積を作ります。具体的な作り方としては次の画像のようになります。変形方法を2通り書いていますが,今回は右側に書いた方法の方がスッキリしていますね。
解答
与えられた式は,次のように変形できる。
\begin{align*}
2n^3+9n^2+7n&=n(2n^2+9n+7) \\[4pt]
&=n(n+1)(2n+7) \\[4pt]
&=n(n+1)\{2(n+2)+3\} \\[4pt]
&=2n(n+1)(n+2)+3n(n+1)
\end{align*}
ここで,$n(n+1)(n+2)$ は連続する3つの整数の積だから6の倍数である。また,$n(n+1)$ は連続する2つの整数の積で偶数であるから,$3n(n+1)$ は6の倍数である。2n^3+9n^2+7n&=n(2n^2+9n+7) \\[4pt]
&=n(n+1)(2n+7) \\[4pt]
&=n(n+1)\{2(n+2)+3\} \\[4pt]
&=2n(n+1)(n+2)+3n(n+1)
\end{align*}
したがって,$2n^3+9n^2+7n$ は6の倍数である。
まとめ
ある数の倍数であることを証明する問題では,連続する整数の積を作るように変形することで,場合分けをすることなく証明できる場合があります。