今回は約数の個数に関する問題を扱います。
単に公式を利用して,与えられた数の約数の個数を求めることができるだけでは,応用問題には全く対応できません。約数の個数を求める公式の意味を理解して,応用できる実力を身に付けましょう。
考え方
条件として与えられていることは次の2つのことです。
- 20の倍数である
- 正の約数が15個である
1つ目の条件から考えると,$k$ を整数として,$N=20k$ と表すことができて,この数の約数の個数を考えることになります。
しかし,約数の個数を数えるときには,素因数分解して考えるのが定石です。$N=20k$ とおいてしまうと,$k$ がどのように素因数分解できるかが分からないから,約数の個数を数えることができなくなります。
つまり,これは最初に考えなければならない条件は1つ目ではないということです。
それなら $k$ の素因数分解の形で場合分けするなりして,考えれば良いのでは?となるかもしれませんが,これは2つ目の条件から考えることと同じになります。
したがって,最初に考えるべきなのは2つ目の条件で,$N$ がどのような形で表されたときに約数が15個になるかということを考えなければなりません。
そこで次のポイントが重要になります。
$N=a^pb^qc^r$ の約数の個数は,$(p+1)(q+1)(r+1)$ である。
いまは,約数の個数が15なので,15を2以上の整数の積で表したときに,どのような表し方が存在するかを考えます。
例えば,そのまま15と考えた場合,$a$ を素数として,$N=a^{14}$ と表すことができます。$a$ が2であろうが,3であろうが,素数ならば,。確かに $a^{14}$ の約数の個数は,15個になります。
また,$15=3\times5$ と表すこともできるため,$N=a^2b^4$ と表すことができますね。
$N$ の形が決まったら,これが20の倍数になるような素数 $a,b$ を決めれば良いということになります。
解答
$15=3\times5$ より,$a,b$ を素数とすると,$N=a^{14}$ または $a^2b^4$ と表すことができる。
(i) $N=a^{14}$ のとき
$a$ は素数だから,$N$ が20の倍数にはならない。
(ii) $N=a^2b^4$ のとき
$20=2^2\times5$ より,$N$ が20の倍数であるとき,$(a,b)=(2,5),(5,2)$ となる。
$(a,b)=(2,5)$ のとき,$N=2^2\times5^4=2500$
$(a,b)=(5,2)$ のとき,$N=5^2\times2^4=400$
(i),(ii)より,求める整数 $N$ は,$N=400,2500$
まとめ
正の約数の個数が与えられた整数の表し方を身に付けましょう。